風潮からの覚醒
                                    人権擁護委員  酒井 勝彦

 ☆ 食料品の実質値上げ、ガソリンの急騰等の次には未曾有のリストラと、世界中が翻弄され、詐欺事件は後を絶たない。
 ☆ 勝ち組と負け組の格差は大きく開き、急激な発展を遂げた中国や中東のドバイも例外ではない。道士のその後は知らないが、わずか15分の間に自分の一生の出来事を夢みた『邯鄲(かんたん)の夢』の物語を思い出す。
 ☆ 人々は仮想の世界に酔いしれ、マネーゲームに右往左往。「お金はオモチャではない」と、かっての親は子どもを躾たものだが、文明の発達は人間をダメにするという言葉がその通りになっていく。 
 ☆ 「権利」と「自由」だけを主張するのは「人権」といわない。それは「エゴ」というものなのだ。「権利」に付随するものは「義務」であり、自由に付随するものは「責任」である。自分に保障されるべき「権利」と「義務」は同時に他者に対しての「義務」と「責任」が付随されるべきのものだ。 
 ☆ 石川五右衛門は釜茹でにされた時、初めは子どもを頭の上に抱えていたが、あまりの熱さにとうとう踏み板がわりにしたという。人という生き物の本質をもう一度再認識すべきではないか。
 ☆ コッコッと精を出して働いている人びとが報われる社会でありたいものだ。人を欺いて一攫千金を望む風潮が嘆かわしい。軽佻浮薄に流れると社会は滅びるし、リーダーが顰蹙(ひんしゅく)を買うと国家の品格も失われる。
  政治も経済もゲームではない。生き様に目を覚ませよ。十年後が気遣われる。

                               「情報ネットワーク ささやま」 機関紙より転載