言葉は心の架け橋
                                          仕事始めにコンビニに立ち寄りますと、中学生らしき二人が
「あけおめ」「ことよろ」と挨拶を交わしていました。意味を聞きますと「明けましておめでとう」「今年もよろしくお願いいたします」という略語らしいです。藤井委員は、若い人たちの話す言葉のことを書かれていましたが、今の日本は、外来語や略語が多く使われるようになって言葉が乱れています。 古代の日本人は、言葉は単なる意思の伝達手段としてではなく言霊として大切にしてきました。                             
         柿本人麻呂は、『万葉集』の中で、こんな歌を詠んでいます。                                
         
敷島の 日本の国は たすくる国ぞ さきくありこそ                                                      
「敷島」は「日本」にかかる枕詞です。この日本の国は言霊といって言葉には霊魂が宿つており、その言霊の不思議な力が人を助けてくれる国であると詠んでいるのです。言葉は不思議な作用を持っています。例えば、「お待ちしていました」という言葉一つとりましても、遅れてきた人には、皮肉を言っているようにも聞こえることがあります。言葉はその人の温度によるのです。          
 言葉が温かければ、心も豊かになります。言葉が正しければ、心も正しくなります。 
 言葉はコミュニケーションの道具だけではありません。普段何気なく使っている言葉であっても、私たちの体や心に大きな影響を与えているのです。     
「刃物は肉を切り、言葉は心を斬る」と申しますが、「オレオレ詐欺」のような犯罪の道具に使われたり、「ひと言」の言葉が人を傷つけたり、時には人の命を奪ったりもします。「ひと言」の言葉が「癒し」にもなれば「ストレス」にもなるのです。    
 
言葉には力があります。温かい言葉を「ひと言」かけることによって、受けた人が次の人に、また、温かい言葉をかけます。
「話力」(話す力)は旅をするのです。話力は「和力」(人と人との和)に繋がります。 温かい言葉、優しい言葉を掛け合うよう心掛けたいですね。            
 温かい言葉の和が
「輪力」(人を繋ぐ輪)となって、好ましい人間関係の波紋が広がっていきます。言葉は心の架け橋です。
 心の教育には、「言葉の教育」が大切だと思います。なぜならば、美しい言葉は心で造られていくからです。