ある母親から「いじめや自殺といった犯罪が起きるのは、家庭教育が悪いのでしょうか」と尋ねられ答え に困った。
「原因には複雑にいろいろな要因が絡み合っていると思います」とあたり障りのない答えをしたが、私は家庭の及ぼす影響よりも社会環境が一番大きいと思っている。
自殺者は3万人を越え、「誰でも良かった」という無差別殺人や「ついカッとなってやった」といった犯罪、暴力事件が起きる世相になったのは、社会環境に要因が潜んでいるように思う。
メディアに目を向けてみると、子どもたちは殺人を題材にしたドラマやアニメ、ゲームばかりを楽しみ、大人も殺人事件を扱ったドラマや時代劇を楽しんでいる。
こうした環境の中で洗脳されて「死の恐怖」を感じなくなっても仕方がない。
社会環境を一考する必要があろう。
一方、家庭や教育現場では、一人の人間が生まれてくるまでに、どれだけの時間と多くのご先祖さまの命が関わって生まれてくるのか、すべての命は「つながっているもの」「いただいたもの」という宗教的な見方、考え方をして、この「いのち」を支えていくのにどれだけの人が関わってくれているか「命は重いもの」であることを具体的に教えていけば、子どもなりに「いのち」に対する人間的な見方もできるようになり、「人の命を奪ったり傷つけたり、いじめたりすることがいかに悪いことであるか」を認識できると思う。
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