NHKの紅白歌合戦が終わり、全国各地の「除夜の鐘」が放映されますとしばしの時間、喧騒を離れた「静寂」なひとときが訪れます。鳴り響く美しい音色が聞こえた時はすがしい気持ちになります。
仏教詩人の坂村真民先生は、このような詩を書いておられます
鐘の音
ああ
けさの鐘の音はいい
よほど空気が澄んでいると見え
コーン
コーンと
撞く人の息づかいまでが
響いてくるようだ
真民先生は、鐘の音を聴きながら撞く人の心まで見通しておられます。
現代の私たちは、絶え間なく耳に入る映像や音、それに刻々と伝わり来るおびただしい量の情報に振り回され、人間の精神が追いつかずにいるという現象を招いています。こんな時代だからこそ積極的に「静」を楽しむ時間を持つことが大切だと思います。
「静寂」から生まれる心の安らぎが、生きる力を与えてくれるはずです。
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