平成19年度受賞作品
  県奨励賞・市最優秀賞
   「僕の妹」                      篠山市東中学校3年
僕の妹は、ダウン症という障害を持っています。小学4年、5年の頃は、「何で俺の妹はこんなんやねん。もっと普通の妹が欲しかったわ」と思ったり口にしたりしていました。
ただいやだいやだと思っていました。今思うと、当時の自分が恥ずかしくてたまりません。
 僕の気持ちが変わり始めたのは、僕以外に妹の悪口を言う人がいなっかたからです。
そのことに気付いたのは6年生の頃でした。それまで妹の悪口ばっかり言っていた自分が情けなく悔しくてしかたありませんでした。
僕がそんな気持ちでいる時、めったに口をきかない父が
「何があったかしらんけど、悔いが残る事があったら今から変えていけばええやろ」と言いました。最初は何カッコイイこと言ってんねんと思いましたが、落ち着いて考えてみると、さっき父が言っていた言葉が頭の中でグルグルと回っていました。気がつくとなんだかふっきれた自分がいました。
今までの自分を変えることが出来るのか不安でしたがとにかく妹のいい所を見つけていくことにしました。そうすることによって少しでも自分を変えられると思いました。
 妹は養護学校の中学部になり交流学習で、僕の通う中学校に来ることになりました。僕は周囲の人たちにどんなことを言われるか、正直不安でした。でも、そんな不安は、あっという間に消えていきました。
 「妹さんは髪がストレートでかわいいね」と笑顔で言ってくれる人がいました。僕の妹をそんな風に思ってくれるんだとうれしくなりました。また、後輩は妹のそばにずっといてくれました。僕が「いろいろありがとうな。妹のことやから迷惑かけてるやろう。」と声をかけると「普通のことをやっているだけですから。任しといてください。」という言葉がかえってきたのです。後輩のさりげない言葉に感動しました。
 妹は食道閉鎖症A型と心室欠損症という合併症を持っていました。食道閉鎖症とは、食道の奇形で胃袋まで食道が届かず途中までしかないという病気です。食道の働きが弱いためよく吐いたりしています。
その時の妹を見ると本当に苦しそうで見ている僕もつらくてしかたがありません。だから僕は妹の背中をよくさすってやります。そうすると少しましになったり楽になったりするのです。
妹の体には数十回に及ぶ手術の跡が残っています。本当につらいめにあっている妹。でも家に帰ると怒ったり、笑ったり、泣いたり、すねたり、いつも通りの妹がいます。
僕にはない精神力、がまん強さを持っています。ある意味僕は妹を尊敬しています。だから妹は心の支えなのです。妹が元気だったら僕も元気。妹がしんどかったら僕もしんどい。だから僕は妹とずっと一緒にいたいです。妹がずっと元気でいられるように努力をしていきたいです。
 将来僕は家の田畑を守り、妹の住む場所を守り続けて行こうと思います。体の弱い妹の為に僕は手に職をつけて、楽に暮せる様にしていきたいです。もちろん、妹にも手伝ってもらいます。妹なりに自分ができる力いっぱいのことをしてほしいと考えています。妹の自立を助ける支援者の一人として僕は生きていきたいです。
 僕はこの篠山という町で生きています。妹も一緒です。地域の人にも妹の支援する仲間になってもらって妹の笑顔を守りつづけていこうと思います。